M&Aハウツー

M&AのPMIとは?成功のポイントや手法、重要性を徹底解説

M&A実施後、双方の企業の統合を実施することが重要ですが、日本においてPMIはあまり重要視されないことが多いというのが現状です。

本記事では、M&Aにおける重要なPMIについて、成功のポイント及び手法などを解説致します。


M&AにおけるPMIとは

M&Aにおいて重要であるPMIは、英語表記で「Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)」の頭文字をとった略称であり、M&A成立後の経営統合の実行のプロセスを意味します。

M&Aによって売却側及び買収側の双方で統合していくものは、個々の案件により異なります。一般的には、グループ方針の統一及び双方の企業文化の融合、さらには主要取引先の共有及びコスト削減などが挙げられます。


PMIをきちんと実行できるかによって、M&Aが成功するか否かが決まります。M&Aによる期待されていたシナジー効果が実現されないという場合には、PMIがきちんと実行されていないというパターンが多いのです。

PMIがきちんと実行されていると、M&Aにおいて生じやすい売却側及び買収側双方の、社員の軋轢の解消にも繋げることが可能です。さらに、M&A直後の企業では様々なことが不安定になりやすいといった特徴があるため、PMIによって内部統制及び双方企業のシステムの統合等をスムーズに進めていくことが重要となります。

関連記事:M&Aのリスクを徹底解説!売り手・買い手双方のリスクや対処法を解説


PMIのプロセス

M&AにおけるPMIのプロセスは、下記の通りです。

  1. 統合方針を固める
  2. ランディング・プランを策定する
  3. 具体的な100日プランに落とし込む
  4. PMIを実施・検証する

本項目では、それぞれのプロセスの詳細を解説致します。


1.統合方針を固める

買収側は売却側を買収後、どれくらいのペースで自社及び自社グループに統合を行なっていくのか、統合の際に踏む手順及びスキームの検討を行います。スキームの検討の際には、デューデリジェンスでの審査結果及び、業界内の競合他社の状況等を全て網羅できるよう総合的に判断を行います。

関連記事:デューデリジェンス(DD)とは?意味からM&Aにおける必要性と実務上のポイントまで完全理解


2.ランディング・プランを策定する

ランディング・プランとは、M&A成立後の数ヶ月(約3ヶ月〜6ヶ月)以内に実行するべき様々な統合作業の計画を意味します。計画内の統合作業には、売却側及び買収側双方の作業が含まれます。

この際の統合作業に含まれる主な領域としては、管理面(組織体制及び社内規定類の見直し、人事制度及び労務管理の整備、経営管理体制の見直し及び経理関連業務の見直し等)及び事業面(仕入れ値=原価の見直し及び販管費の見直し等)の整備及び見直しが挙げられます。


3.具体的な100日プランに落とし込む

100日プランとは、M&A成立後100日間で策定する売却側の中期事業計画のことです。前述したランディング・プランよりもさらに踏み込んだ内容の100日プランでは、各プロジェクトチームを編成し、経営陣だけでなく現場の社員も一丸となって取り組みます。その際、売却側及び買収側双方の社員がプロジェクトチームに参加することが重要です。

売却側としては、外部から異なる考え方が自然と意見に取り込まれるため、M&A実施以前には不可能だった抜本的な改革を実施することが可能となります。さらに、売却側の社員としても、一方的に買収側のやり方に合わせなければならないわけではなく、意見をきちんと述べる場が設けられることで、M&Aにおける不安及び不満の緩和にも繋がるでしょう。


4.PMIを実施・検証する

前述したランディング・プラン及び100日プランは、それぞれ策定して満足していては意味がありません。きちんとスムーズに進んでいるのか、シナジー効果は発揮されているのかなど、※PDCAサイクルを回し、日々プランと大きなズレが発生していないかを適時判断していく必要があります。

策定したプランよりも進捗が遅かったり、プランを実行していく過程で新たな課題が出てきたりした場合に対応するため、週次あるいは月次の分科会を開催し、必要に応じて他の分科会とも連携を取りながらプランをスムーズに実行していきましょう。

※PDCAサイクルとは、英語表記で(Plan Do Check Action)の頭文字を取ったもので、計画→実行→評価→改善のサイクルを何度も繰り返し実施することで、継続的に業務の改善を行うことを意味します。


PMIの手法(具体的な統合内容)

PMIにおいて整備を実施する項目については、下記の5つが挙げられます。

  • 経営体制及び組織構造の統合
  • 人事制度及び総務・法務制度等の統合
  • 業務システムの統合
  • 事業内容及び取引先の再検討
  • 業務評価システムの見直し

詳細は下記表の特徴及びポイントをご確認ください。


経営体制及び組織構造の統合

特徴

M&A実施後の意思決定プロセス及び伝達方法、適切な人員配置等の仕組みを検討及び統合

ポイント

  • 売却側が中小企業である場合、経営体制や組織構造が曖昧な場合がある
  • 売却側及び買収側双方において、社員レベルでの不安及び不満の内容や、双方の企業文化の違いによる軋轢の有無を認識する

人事制度及び総務・法務制度等の統合

特徴

人事評価制度及び報酬制度、退職金制度等の内容の擦り合わせ及び統合

ポイント

  • 各セクションにおける現場レベルでの業務のノウハウ及び、社員の働き方や待遇などをきちんと把握する
  • M&A後の環境に社員がスムーズに適応できるよう、研修制度等も見直し及び適時実施していく
  • 売却側の元々の経営状況によっては、人員整理も止むを得ない場合がある

業務システムの統合

特徴

双方の企業の業務システムにおけるオペレーションの統合及び管理部門のシステム統合

ポイント

  • 同業種によるM&Aの場合は、買収側で使用しているシステムに統合することが一般的
  • 決算システムに関しても、統一しておくと現場の経理担当者の負担の大幅な軽減に繋がる
  • ITシステムの統合には多額のコストが必要となる場合がある

事業内容及び取引先の再検討

特徴

  • 双方の企業の製品及びサービスにおいて重複する部分は統廃合
  • M&A後のスケールメリットを生かし、取引先の見直しの実施

ポイント

きちんと実施することで、期待するシナジー効果がダイレクトに発揮されるPMI


業務評価システムの見直し

特徴

M&A後のシナジー効果が、プラン策定通り発揮されているのか、原因等の分析を行うことができる仕組み作り

ポイント

  • ※KPI設定及びマネジメントサイクルの導入
  • 定期的にモニタリングを実施しPDCAサイクルを回していく

※KPIとは、英語表記で(Key Performance Indicator)の頭文字を取ったもの。重要業績評価指標を意味する。


上記の統合内容を、前述したランディング・プラン及び100日プランに沿って実施していきます。PMI実施の過程では、シナジー効果などの具体的な成果がきちんと測定及び分析されていることが重要です。特に、長期に渡って実施しなければならないPMIの場合、随時プランを見直す必要も出てくるので注意しましょう。


PMIを成功させるポイント

PMIを成功させるポイントとしては、下記の6つが挙げられます。

  • M&A実施(クロージング)までにPMIを策定
  • PMIの目標及びスケジュールの具体化
  • PMI実行のための人材確保
  • PMI成功のためのリーダーシップ
  • PMIを現場社員と共有
  • 売却側社員とのコミュニケーション

詳細は、下記の内容をご確認下さい。


M&A実施(クロージング)までにPMIを策定

内容

  • M&A実施(クロージング)後にPMIを策定するのは遅すぎるため、具体的には買収側が売却側のデューデリジェンスを実行した後、M&Aの交渉内容の擦り合わせ段階でPMIを策定しておく
  • 双方の企業だけでPMIの策定が困難である場合には、各専門家の意見を取り入れる

PMIの目標及びスケジュールの具体化

内容

PMIの最終目標及び具体的なスケジュールを明確にしておくことで、現場の社員の混乱を防ぐことに繋がる


PMI実行のための人材確保

内容

  • PMIの各プロセスの担当者となるような有能な人材が流出しないよう事前に確保
  • M&Aの目標をきちんと理解し、適切な指示を出すことができる人材の確保

PMI成功のためのリーダーシップ

内容

経営陣及び各セクションを取りまとめる管理職クラスの社員に、M&A以前よりも高いリーダーシップが求められる


PMIを現場社員と共有

内容

経営陣だけでPMIを共有していても、現場社員がPMIを理解できていなければPMIの実施は不可能


売却側社員とのコミュニケーション

内容

特に売却側の社員は、M&Aによる買収をマイナスに捉えてしまうことが多いため、円滑でこまめなコミュニケーションを積極的に取る必要がある


上記の通り、PMIを成功させるためには様々なポイントを押さえて、確実に実行していくことが重要です。


M&AにおけるPMIの資格・学習方法

特に初めてM&Aを実施する企業においては、経営者及びM&Aの実務担当者がPMIをどのように進めていくべきなのか、注意点はどこにあるのか等を事前に理解しておくことが重要です。PMIの代表的な学習方法としては、セミナーへの参加及びPMI関連書籍の閲覧などが挙げられます。特に効率的である学習方法は、セミナーへの参加です。

例えば、中小企業庁が主催するPMIセミナーは、経済産業省のホームページから確認することが可能です。

(参照:経済産業省ホームページ セミナー概要


セミナーに参加するメリットとしては、質疑応答で直接不明点を質問することが可能であることだけでなく、セミナーの主催者及びセミナー参加者とのネットワークができるという点にあります。PMIについて学べる上、後々頼りになる人脈作りの場としても重宝されるため、セミナーへの参加は一石二鳥と言えるでしょう。

また、PMI日本支部ではPMI資格の受験を実施しています。経営者及びM&A担当者は資格取得を兼ねて勉強することで、より専門的な知識を得ることが可能です。


M&Aにおける外部専門家の活用

スムーズかつ効率的にM&Aを実施していくためには、M&Aに詳しい外部専門家の意見を積極的に取り入れることを推奨します。外部専門家とは、主に公認会計士及び弁護士、経営コンサルティング会社及びM&A仲介会社等が挙げられ、M&Aを実行するために必要なアドバイスを行ってくれたり、場合によっては買収側を探す手伝いをしてくれることもあります。

売却側にとって心強い味方となる外部専門家は、M&Aが実施される前段階でPMIを策定する際にも活躍してくれるでしょう。売却側及び買収側だけでPMIを策定していくのは、専門的な深い知識のある人材がいなければとても難しいというのが現状です。さらに、日本におけるM&AではPMIがおざなりになってしまうこともしばしばあります。M&A実施後の統合によるシナジー効果を最大限に発揮することが、M&Aにおける最大の目標と言えます。

M&Aを検討している企業は外部専門家と連携していくことが重要です。

関連記事:【全公開】M&Aのプロが解説するM&A仲介業者の選び方とは・・・?

関連記事:【徹底解説】M&A専門業者(仲介業者/FA/プラットフォーム)その正体とは?M&Aのプロがメリット、デメリットを教えます!


会社買収/事業売却をご検討ならJPMergers

知識に自信がない、徹底したサポートを受けたいという場合は、JPMergersにご連絡ください。着手金や中間報酬はいただきません。国内最大級のM&Aアドバイザーバンクから、企業それぞれの特色に合わせた最適な人材を紹介させていただきます。

ただ単に契約を「成立」させるのではなく、双方にとっての「成功」を目指すJPMergersに、M&Aに関する悩みや不安をぜひお聞かせください。

https://jpmergers.jp/

ピックアップ記事

  1. 非上場株価の調べ方・非上場株式の評価方法と計算方法を解説
  2. 第三者割当増資とは?わかりやすく解説します【メリット・手続き】
  3. 合併と買収の違いを徹底解説!メリットデメリットや手法についてもわかりやすくご紹介…
  4. M&Aの「のれん代」の計算方法や徹底解説!会計処理や注意点も説明

関連記事

  1. M&Aハウツー

    EBITとEBITDA 2つの違い、営業利益との違いやメリット・注意点を徹底解説

    M&Aのプロセスにおいて、対象企業の価値を評価する指標として、…

  2. M&Aハウツー

    赤字会社の買収・売却方法や相場価格・算定方法を解説

    赤字会社と聞くと、一般的にはM&Aの対象にはならないように思え…

  3. M&Aハウツー

    M&Aのメリット・デメリットを買い手・売り手に分けて徹底解説

    社長の高齢化、若年層の減少や価値観の多様化などが原因で後継者不足が深刻…

  4. M&Aハウツー

    デューデリジェンス(DD)とは?意味からM&Aにおける必要性と実務上のポイントまで完全理解

    近年では、M&Aが企業の成長戦略としての市民権を得てきた背景も…

  5. M&Aハウツー

    IPO(新規上場)とM&Aの違いとは?メリット・デメリットを比較!

    日本においては、スタートアップなど起業したばかりの企業が、IPO(新規…

  1. M&Aハウツー

    合併と買収の違いを徹底解説!メリットデメリットや手法についてもわかりやすくご紹介…
  2. M&Aハウツー

    中小企業M&Aの流れ・注意点を徹底解説!
  3. M&Aハウツー

    【全公開】M&Aのプロが作成した完全版M&A To Do L…
  4. 資金調達

    【全公開】株式以外の資金調達方法、そのメリットとは・・・?
  5. M&Aハウツー

    PERの計算方法は?PERを投資判断に活用するための注意点
PAGE TOP